スイミングゴーグルのVIEW

VIEWKAREN 開発秘話

2004年に発売された業界初の女性用スイミングゴーグル。
“ゴーグルの装着跡が付きにくい”というコンセプトが多くの女性スイマーの支持を獲得し、大ヒット商品へとつながった。

その発売から8年。女性用ゴーグルの分野において競合他社が続々と製品開発を図って行く中、VIEWブランドから第2弾の女性用ゴーグルが発売された。その名は「VIEWKAREN(ビューカレン)」である。

女性だけのプロジェクトチーム発足!

長年、スイミングゴーグルの開発に携わってきた柴田は、ある危機感を感じていた。それは女性用ゴーグルについてであった。

「2004年にVIEWは、業界初となる女性用ゴーグル《VIEWFRAW》を発売しました。
スイミングに取り組む女性のニーズに応えた製品で大ヒットを記録しましたが、あれから8年が経ち、近年では競合他社も女性用ゴーグルの開発に力を入れてきています。スイミングゴーグルの分野で初めて“女性用”のカテゴリーを作ったブランドとして、何かをしなければいけないと常々考えていました。」

そこで、柴田は第2弾となる女性用ゴーグルプロジェクトチームの発足と製品化を提案。
ここに新しいコンセプトの女性用ゴーグルの開発がスタートした。ただし、柴田は設計担当者として製品化に携わるものの、プロジェクトメンバーは全員女性に限定し、製品開発に関わる決定事項も全てプロジェクトメンバーに託すことにした。
その理由について尋ねると「女性の気持ちは女性が一番よく分かっているし、男性である自分があれこれ考えるよりも、何か新しいアイデアが出てくるのではないかと考えました。」と柴田は答えた。
女性だけのプロジェクトチーム結成後、あるメンバーは、数多くのフィットネスクラブに通い、女性スイマーが日頃、ゴーグルに対してどのような感想を持っているのかを聞いて回った。またあるメンバーは、販売されている全ての女性用ゴーグルを購入し、機能性、デザイン、見栄え、付け心地など、様々な項目における比較研究を徹底的に行った。

そして、プロジェクトメンバーから色々な意見が集まる中、新製品開発の基本コンセプトが打ち出された。それは “コンパクトサイズで目元がキレイに見える女性用ゴーグル”だった。

女性用ゴーグルのパイオニアとして8年前に発売された《VIEWFRAW》。
“ゴーグルの装着跡が残らない”が基本コンセプトの《VIEWFRAW》は、そのコンセプトの実現のため、サイズやフィッティングラインはレギュラーサイズのゴーグルよりやや大きいものになっている。
市場ではこの基本コンセプトが高く評価され、大ヒット商品につながった。
しかし、市場調査を続けた結果、ゆったりとしたサイズに高い評価が多い半面、《VIEWFRAW》より、少しコンパクトなサイズを求める声も数多く聞かれた。「女性はあれこれと商品を選んで楽しみたいもの。だから、サイズが大きいゴーグルだけでなく、小さいサイズのゴーグルがあってもよいのでは。」

コンパクトにすると目元がキレイに見えない!?

早速開発に取り掛かったプロジェクトメンバーであったが、すぐさま大きな問題点に直面することになる。
それは、ゴーグルをコンパクトにすることによって、目元にかかる圧力が増し、装着時の見た目に影響を及ぼしてしまう点であった。

プロジェクトメンバーの1人である石川は「私を含め多くの女性社員に試作品を装着させてみたのですが、ゴーグルをコンパクトにすればするほど、目の周辺に圧力がかかって目元の見え方がキレイではなくなってしまいます。女性は泳いでいるときもキレイに見られたいので、どうしたら解決できるかを常に考えていました。」と当時を振り返った。

“コンパクトサイズで目元がキレイ”この難題を簡単にはクリアすることができず、試行錯誤を繰り返す日々であったが、やがて1つの解決手法を導き出した。それは“フェイスパッドを従来品より鼻の高い位置でフィットさせること”であった。

「従来のゴーグルでは、鼻の低い位置にフィッティングラインがあったのですが、《VIEWKAREN》では発想を変えてフィッティングラインを従来のゴーグルより高い位置、つまり、鼻ベルトに対して両側のフェイスパッドが少しだけ内側(寄り目方向)に延長するように設計しました。」と語る柴田。
これによって、上下まぶたにかかる圧力を鼻の高い部分でフィットさせて抑えることができ、コンパクトなのに目元がキレイに見えるゴーグルの開発にとうとう成功したのだ。

自分のカラーに合わせてカスタマイズする楽しさ

「《VIEWKAREN》は機能面だけでなく、女性を意識した仕様を数多く施しています。」と語るのは製品企画担当の角田。彼女もプロジェクトメンバーの1人で、《VIEWKAREN》のカラーリングには、女性スイマーに向けて特別な思いを込めたという。

「《VIEWKAREN》のカラーコンセプトは、植物(花)の一連の成長サイクルをイメージし、女性が泳ぐことでキレイになっていく姿に重ね合わせました。カラーバリエーションはアースカラーの7色をラインナップすることで、選ぶ楽しさも感じてもらえればと思います。」
角田はパッケージにもこだわり、7色の基本カラーごとにパッケージも異なるという常識を破った展開を提案した。
「製品のデザインは花びらをモチーフにデザインされているんですよ。例えば、レンズの形状、鼻ベルト上の彫刻、そして、ストラップの長さ調整を行うアジャストピンなどです。そのアジャストピンですが、カラーの異なるスペアピンも付属しているので、その日の気分に合わせて付け替えることができます。」

《VIEWKAREN》のネーミングは“可憐に咲く花のように美しく”という思いを込めて命名されたという。女性ならではの視点と感性。ゴーグルの細部にわたって女性らしさを強調させようとした角田のこだわりは、すんなりと社内で受け入れられた。そして、いよいよVIEWKARENは発売開始を迎える。

女性専用ゴーグルの選択肢の幅が広がった
「VIEWKAREN」

女性だけのプロジェクトメンバーの熱い想いが込められた《VIEWKAREN》。発売から半年近くが経過した現在、好調なセールスを記録している。また、相乗効果で《VIEWFRAW》の販売数量も増えてきている。プロジェクトメンバーの狙いである“製品を選ぶ楽しさ・選択肢の幅を広げる”という狙いは見事に当たった。
無事に製品化を終えたプロジェクトメンバーを代表して、石川と角田に感想を聞いてみた。

「開発に協力してくれた女性社員の皆さんに感謝します。女性用ゴーグルとして、私の製品に対する思い入れも特別に強かったですね。今までの開発の中で、これだけ女性を意識して製品開発を行ったのは初めてでした」(石川)

「“女性専用ゴーグル”というカテゴリーを初めて作ったブランドとして、女性用ゴーグル第2弾となる《VIEWKAREN》は自信をもってオススメできる製品に仕上がりました。装着時の見た目の綺麗さ、アジャストピンのカラーをチョイスできる楽しさなど、《VIEWKAREN》を女性スイマーのスイミングシーンに華を添えるアイテムとして使っていただければ嬉しいです」(角田)

そのプロジェクトメンバーたちの思いは今、確実に女性スイマーの心を掴んでいる。